40年前から始まった
十和田石の資材研究


渡辺農園

いち早く十和田石に農業資材としての可能性を見い出した「渡辺農園」。
そこには、日本の農業に対して十和田石に寄せた期待がありました。

いち早く十和田石に農業資材としての可能性を見い出した「渡辺農園」。
そこには、日本の農業に対して十和田石に寄せた期待がありました。

十和田石の土壌改良研究

ウチと中野産業さんの付き合いは長いんです。40年ほど前、中野産業にいた私の友人が十和田石の建材以外の使い方を研究していて、農業資材として使ってみないかと持ちかけてきたんです。ちょうど化学肥料への問題意識が持ちあがってきた時代で、私自身も興味があったので乗ったんです。でもその友人は若くして亡くなり、それとともに十和田石を使うこともなくなっていました。
それから30年近くが経ち、違う担当者が「こんな石がある」とウチを尋ねてきたんです。聞けば、亡くなった友人の研究は中野産業で続いていて、今では大手外資チェーンの専用農地で栽培実験が行われていたり、海外大学の研究機関でも研究が進められているとのことでした。断る理由はまったくありませんでした。昔、友人と一緒に進めた試作の第二章が始められるとことが嬉しかったですね。

白絹病対策として

第二章は、平成3年に始まりました。当時、海外からの新品種であった「デルフィニューム」の栽培を手がけ始めたばかり、まだ既存の肥料との相性もうまくわかっていないころ「白絹病」にかかり困っていました。薬品での対応はしたくないということもあって、天然資材としての十和田石の可能性に賭けました。
使い方は撒くだけです。作物などで変動しますが、ウチではだいたい1年に1回、400㎡の畑で1〜5mm以下の十和田石0.5tをトラクターで撒布します。石は攪拌され見た目ではほぼわかりませんが、十和田石には土中の微生物を育てる効果もあるらしく、肥えた土壌つくりの一役を担っています。

作物の植えられた畑

作物の育ち方、虫への耐性などは感覚的なものではありますが、効果は認められると思います。実際、平成3年以降、白絹病に悩まされることはなくなりましたね。ウチ以外にも、継続的なデータは日本各地と海外で集められているそうで、益々楽しみです。

直播栽培の資材として

また、畑のほかに、田んぼでも十和田石を使っています。ウチでは水田に育てた苗を植える従来の方法(移植栽培)ではなく、水田に直接水稲種を撒く直播栽培で稲作を行っています。移植栽培は不発芽の心配はありませんが、田植えは稲作自体の労力の1/4を占める大変な作業です。国内農業の衰退が懸念される昨今、作業の効率化は急務で、今のままだと次代の担い手の減少は止まりません。

水田

一方、直播栽培では、手間やコストの削減を可能にする代わりに、発芽率と着床率なども問題が出てきます。国内のさまざまな機関で研究が進められ、試作も発表されていますが、実用レベル、例えば採算分岐点値からみると、移植栽培のほうにまだ分があると思います。
稲の育ち方という問題に対して、十和田石がその解決策になりうるのではないか、そうした実験的な意味も込めて、私は十和田石を使った直播栽培を行っています。
いつか「日本の農業は十和田石が変えた」なんてことが言われるようになったらいいですね。

稲

機能性を活かして
−生活の場での十和田石−